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コラム

[第27回] 話題の「RPAツール」担当者にインタビュー! RPA活用とその導入効果とは!?

更新日:2018年02月27日

「働き方改革」の旗印のもと、社会の至るところで業務効率化と生産性向上に向けたさまざまな取り組みがなされている。中でも特に注目を集めているのが、RPA(Robotic Process Automation)だ。PC上で行われる定型業務をロボットに学習させることで事務作業の自動化を行うというRPAについては、以前にも本連載で取り上げてきた。

[第24回] 定型業務はソフトウェア・ロボットで自動化!? 銀行の業務改革を牽引する「RPA」とは?
https://www.toshiba.co.jp/cl/industry/net_consult/column/20171030_01.htm

今回は、金融機関をはじめ幅広い業界にRPA導入実績をもち、純国産RPAツール「WinActor」を提供するNTTデータの中川拓也氏と橘俊也氏に、RPA導入の流れや実際の運用について話をうかがった。

(左から)小高聡氏、浅見遼馬氏、亀屋淳氏
株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 第四公共事業部 第二統括部 RPAソリューション担当
中川拓也氏(左)と橘俊也氏(右)

RPA普及の推進力になっている要素の一つは「口コミ」

RPAが日本で注目を集めるようになったのは、内閣府に「働き方改革実現推進室」が設置された2016年頃からだろう。現在国内で流通しているRPAツールの多くは海外製品のローカライズ版だが、NTTデータのWinActorはその中でも“純国産RPAツール”として存在感を放つ。

実はWinActorは、まだRPAという言葉がない時代から開発されていたツールだ。NTTデータのRPAソリューション担当で、主に金融機関への導入を行ってきた橘俊也氏は、開発経緯についてこう語る。

「もともと、NTTの研究所でホワイトカラーの業務の大部分を占めるパソコン操作を楽にするための研究をしており、そこから生まれた自動化ツールです。2010年の完成当初は、NTTグループの社員向けに提供しており、グループ横断で業務自動化コンテストを開いたりと、楽しみながら利用していたのですが、大変に評判がよく、これはグループ外のお客様にも提供しないともったいない、ということになり、2013年にWinActorとして商品化し、一般提供を開始しました」(橘氏)

WinActorはユーザーに自発的かつ楽しくITを活用してもらうことをポリシーに、長い期間国内でブラッシュアップされてきており、日本人にとって理解しやすいインターフェースになっているのが特徴だという。ロボットの「動作シナリオ」は明快な日本語で表示され、各操作ボタンの横にはアイコンも表示されているため、プログラミング知識や英語知識のない人でも直感的な操作が可能だ。

しかし、いくら簡単で便利なツールでも、新しいサービスなだけに実際に業務に導入するまでにはいくつかの壁があるだろう。そんな疑問に対し、橘氏はこう語ってくれた。

「私たちの場合は、導入前に実施いただく2ヶ月間の『トライアルプラン』を提供しています。いきなり製品を買わなくてもいい。この2ヶ月間はお客様に自由に触っていただき、導入のイメージや、自分で扱えるという手応えを持っていただきます。そのため、最初に7時間の操作研修を行い、シナリオ作成を体験してもらったり、技術やコツなどの質問に対応したりし、不安を払拭できるようにしています」(橘氏)

慣れていない顧客にとっては「自動化すべき業務の選定」すら難しいので、同社では「どの業務のどの部分を自動化するか」という段階から顧客に丁寧にヒアリングを行い、また他社での導入事例なども紹介して具体的なイメージをしやすいようにサポートしている。WinActorの営業を統括する中川拓也氏はトライアル期間のメリットをこう説く。

「研修を受けると、皆さんどんどん『この業務を自動化してみたい』というのが見えてくるんですよね。そこでまず実際にシナリオを作ってもらい、その過程で我々の知見に基づいたアドバイスをしていきます」(中川氏)

なお、両氏いわく、普及の推進力になっている要素の一つは「口コミ」だという。

ある企業内で、例えば財務部などの部署が先行してRPAツールを部分導入し、その評判が他部署に伝わって、次は人事部、審査部というふうに導入する部署が増えてゆく。あるいは、ある金融機関でRPAツールの導入に携わったシステム会社が代理店となり、その地域の企業に広めてくれるケースもあるのだそうだ。

中川氏
中川氏

照会業務からチェック業務までロボットにおまかせ!

各業界で導入が検討されるRPAだが、例えば金融機関ではどんな業務に用いられるのだろうか。

橘氏によると、ニーズが多いのは口座情報や為替情報などの「照会業務」だという。

「例えばあるシステムにアクセスして照会した情報を、編集して基幹システムに転記したりする業務ですね。従来は人間が全て手動で行っていたのですが、こうした単純な業務が毎週のようにあると大きな負荷になりますので、RPAで完全に自動化していきます。『速く』『ミスなく』『自動で』定形業務をこなせるのがロボットの強み。他に照会系業務でいうと、複数のシステムにアクセスし、アンチマネーロンダリングのための情報収集などにも活用されています」(橘氏)

クレジットカードの与信業務などにもRPAは使われているという。中川氏に解説してもらった。

「ある法人が新規で会員になりたいということで、審査システムに審査依頼情報が登録されると、WinActorが外部の悪質業者照会サービスに情報を送って照会をかけ、結果を持ってきて印刷してくれます。この業務では、クレジットカード会社が保有する審査システムと、クラウド上にある外部機関の照会サービスを連携しているのですが、このようにつなぎたくてもつなげない異なるシステム間の連携で、RPAは力を発揮します」(中川氏)

また、住宅ローンなどで書類をシステムに入力する作業はもちろん、届いた書類とシステムに登録されている情報が一致しているかをチェックするような「照合業務」も自動化できる。

「請求書や財務諸表といった紙の帳票をOCRでテキストデータ化し、RPAがテキストデータと、基幹システムのデータを突合チェックするような業務の自動化ニーズがかなりあります」(橘氏)

あくまでもPC上で動作するRPA単体では、当然ながら紙の処理までをも完全に自動化することはできないが、RPAがハブとなり、スキャナーやOCRなどを組み合わせることで自動化範囲を広げることができる。ユーザーは、紙を見ながらシステムに入力する業務から解放され、スキャナーに紙をセットしたら、あとはシステムに反映された結果をチェックするだけで済むようになるのだ。中川氏はこうした人間とロボットの融合について語る。

「例えばコールセンターでオペレーターが顧客に応答している裏側で、その音声をテキストデータ化し、RPAがテキストデータに関連する方法を検索して表示してくれるという使われ方もあります。音声認識システムの裏側で実はRPAが人の作業を楽にしてくれている、そんなシーンがどんどん増えていくと思います」(中川氏)

削減した時間以上の効果は、「職員のモチベーション向上」

さて、RPAの導入や、管理・運用はどのように行うのがよいのだろうか。
なんのルールもなく運用していて属人化してしまったロボットでは、後々人員が入れ替わる際に後任者への引き継ぎが大変であったりという課題が考えられる。かと言って、現場の業務を把握していないシステム部門がRPAを完全管理し、現場から業務を巻き取ってRPAを活用するというのも現実的ではない。

そこでNTTデータでは、管理統制ロボット「WinDirector」というWinActorの姉妹製品の開発・提供や、コンサルティングメニューの提供などを行なっている。

「我々は“ライトな統制”と呼ぶシンプルな仕組みの構築をおすすめしています。これは、業務手順を熟知しているユーザー部門の業務知識や自動化意欲を大切にしつつ、ITやRPAに責任を持つIT部門が全社の統制・管理を行えるという、自主性と管理を両立するRPAならではの仕組みです」(中川氏)

業務を把握しているユーザー部門こそ、RPAによる業務自動化の主体・主役であるべきだと両氏は語る。

「ある企業では、社内のWinActor活用促進を担うIT部門がRPAツールの購入や社内向け操作研修提供などを行い、ユーザー部門がWinActorを活用しやすい環境を整えています。ただし、ユーザー部門も好き放題にWinActorを使えるわけではなく、作ったシナリオは自動実行前にIT部門の審査を受ける、というルールにしています。これによりIT部門は、どこの部署がどのような自動化を実施しているかを把握したり、シナリオ作成規約に反するシナリオが使われることを防いだり、というライトな統制を実現しています」(中川氏)

導入後の顧客からの反響はどうだったのだろうか。

「ある信用金庫の常務理事様の言葉が印象的でした。単に人数や時間を削減できただけでなく、RPAを導入した部署の人間の精神的負荷が減り、本来の業務に生き生きと集中できるようになったと。やはり、本来の業務以外にルーチンワークを抱えていると、時間を取られるだけでなく、業務が途切れ途切れになり、集中力が散漫になってしまう。RPAを導入することで、誰もが気持ちよく集中して本業に専念できるようになったというのは、嬉しかったです」(中川氏)

また、トップダウンでの業務改善指示は現場の反発を招くケースも少なくないが、WinActorに限っては現場から「使うのがおもしろい、やりたい」と前向きな要望が上がってくるので、社内改革を推進しやすい、という声もよく耳にするそうだ。

橘氏
橘氏

今後RPAは当たり前の「インフラ」となっていく?

RPAは今後、どのように進展していくのだろうか。同社の目標とともに解説してもらった。

橘氏が掲げたキーワードは、「ペーパーレス化」だ。

「よくあるのは、活字の書類では請求書や注文書等をOCRで取り込んで、RPAで処理したいという声です。また手書き書類では、例えば金融機関だと保険の加入申込書や住所変更届などのニーズが多いです。最近は、スキャナーとOCR、WinActor、文書管理ソリューションをセットで提供して下さる代理店さんが増えており、そこに可能性を感じています」(橘氏)

また、現在問い合わせが増えているのが地方自治体、製造業、流通業など。両氏は「業種を問わず、RPAは当たり前のものになっていく」との認識で一致している。

2017年後半からホットになってきたのが、公共機関と医療機関で、先進自治体や、大規模病院でのRPA導入を検討するケースが増えている。中川氏によれば「最初に都市銀行様が導入してくださり、その後地方銀行様や信用金庫様での導入が一斉に始まったときのように、2018年は公共機関や医療機関で一斉に始まるのではないか」という。

病院には電子レセプトのパッケージなど、さまざまなデジタルソリューションが導入されているが、それらのパッケージとパッケージの隙間をRPAでつなぎたいという潜在ニーズは大きいと中川氏は考えている。

そして二人がこのRPAソリューションで最終的に目指す世界はどんなものなのか?

「今、ERPパッケージなどへのWinActorのOEM提供の話が増えています。これがもっともっと増えて、いろんなところに実はRPAツールが入っている状態を作りたいですね。みんな気づかないけど、あらゆるところでWinActorが使われていて、昔はパソコン作業だらけで大変だったね〜と笑い話になっている、そんな世界が理想です。WinActor特約店である東芝情報システム社や、OCRに強い東芝デジタルソリューションズグループと一緒に、実現していきたいと思っています」(中川氏)

「どの企業でも、あるいは学校や家でも、クラウド上のRPAツールに誰もがアクセスできて、Office製品があるのと同じレベルで浸透するような世界になったらいいですね。もっと大きな効率化が実現できると思っています」(橘氏)

<プロフィール>
中川拓也:株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 第四公共事業部 第二統括部 RPAソリューション担当 課長。2009年に、公共分野が自社プロジェクト限定で利用してきたOCRエンジン(日本初の手書きOCRと言われている)をコアに、新商品「Prexifort-OCR」を企画・商品化し、金融・法人・グローバル分野への展開を始める。2014年からRPAの可能性に着目し、OCRと組み合わせてWinActorの提供も開始。現在は500社への提供実績を素材として執筆や講演中心に活動。「2017年版 JISA情報サービス産業白書」「日経BPムック まるわかり!RPA」「ITpro ゼロから分かるRPA」などでRPAについて解説。
【詳細はwinactor.comにて紹介】

橘 俊也:株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 第四公共事業部 第二統括部 RPAソリューション担当 課長代理。2008年から行政システムの開発チームで最適化プロジェクトのシステム開発や運用保守などを担当。2013年にプロジェクトの前身となるOCRソリューション担当に参画。これまで40年以上にわたるOCR技術を活用した「Prexifot-OCR」に、金融機関の窓口業務向けの機能追加をした「Prexifort-OCR金融版」の商品企画を実施。現在は公共・金融分野を中心にOCRを組み合わせたRPAソリューションの企画・販売を行っている。

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※東芝デジタルソリューションズは「WinActor」の販売代理店です

ライタープロフィール

ライター:上野 俊一
ゲーム雑誌編集者、音楽制作雑誌編集者、VR雑誌編集者、フリーライターを経験。特にデジタルエンタテインメント分野に詳しい。最近はFinTech関連の記事を多く執筆している。


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