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Vol.27 運用・メンテナンス(O&M)業務はデジタル化でこう変わる! 設備を活かす、人を活かす東芝のO&Mソリューション

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#04 O&M領域におけるスムーズな技術伝承をサポート 匠の技をデジタル化する「Meister AR Suite」 東芝デジタルソリューションズ株式会社 新谷 文隆

スマートデバイスの画面に映る現実空間にリアルタイムに情報を重ね合わせて、さまざまなサービスに活用するAR*(拡張現実)技術。最近では、スマートフォンのゲームやカメラアプリに使用されることも増え、とても身近なものになってきました。昨今、労働人口の減少、高齢化に伴い対策が急務となっている熟練作業者の業務ノウハウや技術の伝承、さらには現場作業者の業務効率化を支援するため、東芝デジタルソリューションズではAR技術を活用した新たなソリューションを商品化。設備の運用・メンテナンス(O&M*)の現場業務をデジタル化する「Meister AR Suite」の提供を開始しました。これまで標準化やマニュアル化が難しいとされてきた熟練者の勘やコツを、わかりやすく作業者の間で共有できるようにするなど、その革新的な機能とポテンシャルをご紹介します。

*AR:Augmented Reality(拡張現実。人が知覚する現実の環境にバーチャル情報を付加して現実を拡張する技術), O&M:Operation & Maintenance(運用・メンテナンス)

テクノロジーが進化しても、人の判断は重要

決して止まることが許されない工場、そしてエネルギーや交通といった社会インフラ。現場に置かれた機器や設備のパフォーマンスを安定して維持するためには、O&Mの品質が大変重要です。このO&Mの品質は人への依存度が高く、熟練の作業者がこれまでに培ってきた高い技術とノウハウを次世代に伝承して新たな人材を育成することが、企業における共通の課題となっています。しかし、実際には思うように技術伝承を行えていないのが現状です。

 新谷 文隆

O&Mの業務を伝承する場合、多くの企業は業務プロセスや判断基準などの標準化、そしてマニュアル化を進めます。膨大で複雑な作業手順や熟練した作業者のノウハウを伝達できるカタチで残し、作業する誰もが均質に業務を遂行できる土壌を整備することが狙いです。しかし、単純な作業を除き、マニュアル化を人手でイチから行い、維持することには限界があります。作業内容や作業頻度は設備や業務ごとに異なる上、新たな設備の導入や業務プロセスの改善など、作業環境が変化する度にマニュアルを更新することは大きな負担だからです。

また口頭での伝承により業務の手順や内容を作業者の間で共有する場合、勘やコツといった機微な事象までをも伝承し、それを理解して実行することは非常に難しいという問題もあります。故障やトラブルの要因が単純でなくわかりにくい異例の状況などで、熟練の作業者の気づきや解釈、判断が大いに力を発揮します。そこでの意思決定の多くは無意識のうちに行われることが多く、熟練者一人ひとりの長い経験に根ざした暗黙知であり、言葉や数値で表すことが簡単ではないからです。

一方でIoT*やAI*などのデジタル技術が進めば、機器や設備の状況が事細かく可視化され、精度の高い状況分析によりO&Mが容易になるのではないか、という期待もあります。もちろんデジタル技術が効果を発揮する場面もありますが、現場から集まるデータを分析しても異常となった原因が特定できない場合には、現場で培われた熟練者の経験と勘が頼りにされるケースもあるはずです。どんなにテクノロジーが進化しても、やはり人の判断は欠かせません。機器や設備が止まることのない安定した稼働を実現するために、このような熟練者の暗黙知をデジタル技術によってできるだけ分かりやすい文字や数値で形式知化し、伝承・共有していくことは、克服すべき重要な課題です。

*IoT:Internet of Things(モノのインターネット), AI:Artificial Intelligence(人工知能)

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ARによる「匠のデジタル化」で、現場の作業者を支援

O&Mのこうした課題に対して当社は、ものづくりIoTソリューション「Meisterシリーズ」の新たなラインナップとして、現場作業のデジタル化ソリューション「Meister AR Suite」の提供を開始しました。AR技術を活用し、熟練者やベテランの作業手順や判断基準をわかりやすくデジタル化して現場の作業者を支援する、いわば「匠のデジタル化」を図る革新的なソリューションです。

AR(拡張現実)とは、人が知覚している物や空間といった現実の環境にバーチャルな情報を重ねて表示し、目の前にある世界を仮想的に拡張する注目のテクノロジーです。東芝ではこれまでさまざまな産業領域でARの活用に積極的に取り組み、研究開発とグループ内での実証を進めてきました。Meister AR Suiteには、こうして得た豊富な知見と技術を結集。専門的な知識が無くてもARコンテンツの作成と編集ができる「ARコンテンツジェネレータ」と、作成したARコンテンツをタブレット端末で簡単に利用できるARアプリケーション「ARマニュアル」「ARナビゲーション」をパッケージ化しました。匠のデジタル化と、それによる効率的な現場作業を支援します(図1)。

図1 Meister AR Suite の概要

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操作性の高いコンテンツジェネレータと、どこででも使えるアプリケーション

ARコンテンツジェネレータは、直感的な操作性を特徴としており、専門的なプログラミング技術の知識がなくてもスライド資料を作る感覚で、誰でも簡単にテキストや図形、音声、画像、動画などを使ったARコンテンツを作成することができます。またAR表示を行うために特別なマーカーを必要としないことも特長です。作業を行う機器や設備の任意の箇所を画像マーカーとして登録しておけば、実際に現物にかざしたときにそこを基準点として、作業する内容や手順がAR表示されます。これらの高い操作性により、熟練者が現場で何を捉え、どんな状況のときにどのように動いているのか、行動の流れと判断基準を緻密に盛り込んだマニュアルを容易に作成することができます。ARコンテンツの内容はユーザー側で自由に変更できるため、新たなノウハウや知識を付け加えていくことも簡単で、機器の変更や状況の変化に速やかに対応できます。

こうして作成・編集されたARコンテンツを活用し、実際に現場の作業を支援するアプリケーションがARナビゲーションとARマニュアルです。

ARナビゲーションは、作業者の目的地や進行方向をタブレット端末上にマップを使って表示。多種多様な機器や設備が点在する現場において、現場に慣れていない作業者でも迷わずに対象とする機器や設備までたどり着くことができるよう、安全で最適な経路をナビゲーションします。

目的地に到着した後は、ARマニュアルが活躍します。作業者が対象とする機器や設備にタブレット端末をかざすだけで、リアルな現物の映像に重なる形で作業箇所や作業手順がAR表示され、音声や動画でわかりやすくガイド。タブレット端末を動かせば、画面上の対象物にガイダンスも追随し、正確で迅速な作業をサポートします。これにより慣れていない作業者でも熟練者に近い視点で、適切な現場の作業をスムーズに行えるようになります。さらに、実施した作業を画像やテキストで記録すれば、作業報告やナレッジの蓄積にもつながります。これらを体系的に整理してARコンテンツに落とし込むことで、作業の品質をより高めることが可能です。

映像:現場業務におけるARマニュアルの活用(1分14秒)

また、ARナビゲーションには、目的地までの間に複数のチェックポイントを指定することができます。各チェックポイントにARマニュアルを設定し、複数の作業を1つのシナリオとして実行することで、より効率的なO&M業務を支援していきます。

これらARアプリケーションは、オフラインでも利用することが可能です。セキュリティや電波状況などの関係でネットワーク接続ができない作業場所での利用も考慮されています。

今後は、両手を自由に使えるようにウェアラブル端末に対応するなど、お客さまの利用シーンへの最適化をさらに進め、業務システムやIoTシステム、AIを活用した分析システムなどとの連携も図っていく予定です。さらに社員の研修や現場に出る前の事前シミュレーションに活用するなど、作業現場以外のシーンへの適用も模索。お客さまやパートナーの皆さまと共創しながら、さまざまな産業領域で実効性の高いARの活用を広げていくつもりです。

労働人口の不足や高齢化という社会課題を、匠のデジタル化により解決する「Meister AR Suite」。テクノロジーが進化するほど重要性を帯びる人の能力を拡張しながら、工場や社会インフラ、そしてさまざまな産業領域の多種多様なシーンをデジタル化し、安心と安全を支えていきます。

※この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2018年11月現在のものです。

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