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Vol.27 運用・メンテナンス(O&M)業務はデジタル化でこう変わる! 設備を活かす、人を活かす東芝のO&Mソリューション

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#03 設備管理に関わる現場作業者のワークスタイルを変革 点検・保全情報をモバイル端末に集約する「Meister Digital Field Work」 東芝デジタルソリューションズ株式会社 岡戸 志保

設備の点検や保全などの現場業務において、QCD*の維持管理が課題となっています。熟練の作業者の高齢化が進み、それに加えてそもそもの労働者不足、保全にかけるコストの削減、さらには設備の高度化や複雑化、老朽化に起因する障害の発生頻度の増加などを背景に、現場の作業者にかかる負荷は膨らむ一方です。現場業務の管理者は、予防保全の実施や、デジタル化した設備データなどの効果的な活用により、作業環境の改善や省人化、設備稼働率の向上をはかっています。そのために現場作業者のワークスタイルを変革し、現場業務のQCDを改善するのが、東芝デジタルソリューションズの現場業務支援ソリューション「Meister Digital Field Work」です。ここでは製造の現場やインフラ施設が抱えている現場業務の課題から、この画期的なソリューションがどのようにお役に立てるのかについてご紹介します。

*QCD:Quality(品質),Cost(コスト),Delivery(納期)

設備管理に関わる現場業務の課題

製造工場や発電所などにある機器や設備の管理は、企業の資産を効果的に活用し生産性向上に貢献する重要な業務です。

設備管理では、設備を長時間停止させることなく、いかにオペレーション計画に合わせて稼働させることができるかが、重要な取り組み課題となります。設備の状態をリアルタイムに監視しながら点検や整備を行って稼働を維持し、万一故障した場合には短時間で復旧させる。エネルギーなどの重要な社会インフラ設備では絶対に止めない、トラブルを確実に回避する。そのために、徹底した定期メンテナンスを実施するといった管理が行われています。

しかしながら昨今、保全コストの削減要請や設備の老朽化などを背景に、これらの設備管理において効率化や高度化が求められており、設備の状況や日常の運転データを逐次採取し分析することで、設備の故障や停止を事前に防ぐ予防保全に注目が集まっています。

この予防保全を実現する手段が、デジタルデータを用いた「現場情報のデジタル化」です。センサーから温度や振動といったデータを収集し、設備の稼働状況を見える化して、異常の兆候を発見したら素早く対応。データを高い精度で分析し、いつ、どの機器や部品でトラブルが起こりそうなのかを予測して、将来の保全計画や日常の定期点検に役立てようというものです。

しかし、これを実現するためには、生産設備やインフラ設備をただデジタル化すればよいというものではなく、それ以前に設備管理の現場業務の課題を解決する必要があります。設備管理を担当している組織では、労働者不足や人件費削減などにより余力がなく、作業者の多能化と、それに伴う作業負荷の増大が問題となっています。また、長期間稼働している設備の老朽化や増設に伴う複雑化などに起因して、障害や作業ミスの発生が増加しています。さらに、熟練作業者の高齢化が進む一方で現場作業の知識やノウハウが作業者個人に依存しており、技術の継承が図りづらく生産性の向上を妨げています。

このまま放置しておくと現場業務のQCDの維持管理が困難になるでしょう。現場の作業者を適切に支援し、効果的に業務を行える施策が必要です。

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現場の観察から生まれたソリューション

これらの課題に対して当社は、モバイル端末による現場業務支援ソリューション「Meister Digital Field Work」の提供を始めました。点検履歴や運転情報、故障の情報といった設備管理データと、センサーなどのIoT*データを統合し、モバイル端末から現場業務に必要なデータにアクセスできるようにすることで、全ての現場作業者が正確な意思決定と効率的な作業を行えるように支援します(図1)。

*IoT:Internet of Things(モノのインターネット)

図1 Meister Digital Field Workのコンセプト

開発にあたっては、電力会社や製造メーカーにご支援いただき、さまざまな現場の観察を実施しました。巡回点検にも同行し、現場業務の課題と問題点を洗い出すことから始めました。

現場業務には、圧力計や油圧計といったアナログメーターの目視点検をはじめ、機器ごとに多種多様な点検作業が義務づけられています。作業者の方は重くてかさばる紙の資料を持ち運びながら、個別の点検作業に関連する情報をその場で探し出し、狭い場所では体をかがめて中に入り、高所では危険に配慮しながら業務を遂行していました。広大な敷地に散在する設備を徒歩や自転車で巡回しながら、限られた時間で点検結果を一つひとつ手書きで報告書に記録していくという状況もうかがえました。このような現場を一緒に回ることによって、現場業務のQCDを高めて設備の短時間復旧や予防保全に結びつけるためには、プロセスの劇的な簡素化が絶対条件であると感じました。

そこで、実際の現場を観察することで見えてきた実態をUXデザイン*を使って整理し、現場業務の課題から以下の現場作業者のニーズを洗い出しました。

*UXデザイン:User eXperience (顧客の経験価値) を高めるための人間中心設計手法を取り入れたデザイン方法

  1. 設備の高度化や複雑化による作業ミスの課題には、「直感」的かつ確実に作業手順や業務に必要な情報を取り扱えること。
  2. 作業者の不足による作業負荷の増大や多能化によるノウハウ不足に対しては、初めての業務や事態もノウハウを参照できることで「安心」して作業できること。
  3. 有識者不足や属人化による技術の継承不足による生産性の低下に対しては、多くの「情報」を持ち歩けていつでも参照できること。

これらのニーズから「あらゆる情報をモバイル端末に集約し、優れた操作性で必要な情報を素早く掌握」できることをコンセプトに、誰でも確実に点検情報や保全情報を取り扱える「直感性」、初めての業務や事態にも蓄積されたノウハウで対応できる「安心感」、できる限り多くの情報をいつでもどこでも取り扱える「情報力」を、現場作業を行う誰もが感じられるソリューションを実現することを目指しました。

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現場業務のQCD向上と、設備管理の全体最適化を支援

岡戸 志保

実際に現場を観察し、体験したことから見いだした課題を解決するために生まれた Meister Digital Field Work は、次のような課題解決に貢献します。

直感的かつ確実に作業手順や業務に必要な情報を取り扱いたいというニーズに対しては、機器やエリアの情報や作業項目を、作業現場で確認しながら作業し、作業した結果を登録することを可能にしました。また、点検した結果はタッチ操作で簡単に入力することができ、項目選択方式もサポートしているため、紙に書いて記録するより、スピーディーかつ正確な作業が行えます。

初めての業務や事態でも、ノウハウを参照できることで安心して作業したいというニーズに対しては、作業時に気づいたことを、文字に加えて写真や動画で簡単に記録することで、より分かりやすく、より確実にノウハウとして伝えることができます。

多くの情報を持ち歩いていつでも参照したいというニーズに対しては、日々蓄積されていくIoTデータと設備管理データを関連付けて、容易な検索とさらにその分析結果の参照も迅速に行うことができます。また、バインダーにとじた紙から参照することに比べ、極めて短時間で必要な情報にたどりつくことができます。手順書や指示書、現場の写真などを簡単に呼び出せるほか、点検履歴を視覚化したトレンドグラフを表示することで、データの分布やデータ間の関係、時系列の変化などから変化点の気づきを支援します。そのほか、将来的には、現場業務のデジタル化ソリューション「Meister AR Suite*」と連携して、モバイル端末のカメラで点検する対象物を捕らえながら、画面上に重なって表示されるガイダンスを頼りに、慣れない作業者でも熟練者に近い視点で、スムーズに現場の作業を行うこともできます。

*Meister AR Suiteは、#04で詳しくご紹介しています。

このように、Meister Digital Field Work はこれまで多くの現場業務で紙や人手を使って行われていた点検や保守に関連するさまざまな情報の参照や記録といった作業に、優れた機動性と操作性を持つモバイル端末を活用。さらにバックエンドにある設備管理データやIoTデータと組み合わせることで、現場における手軽なデータ解析とリアルタイムな情報の活用を実現し、業務の効率化や品質の向上を支援していきます。

Meister Digital Field Work の活用により、「設備管理データ」はこれまでより一層充実したデータになります。これらを「IoTデータ」と統合して分析することで、今まで気づかなかった特定の因果関係を見いだし、最適な設備保全のアクションに結びつけることが可能となり、Plan(計画:設備計画立案)、Do(実行:点検保守作業の実行)、Check(評価:計画と実績から有効性を評価)、Action(改善:設備計画の見直し)という設備のPDCAサイクルを効果的に回しながら、より高い精度で設備計画・予防保全を実現できるようになります(図2)。

図2 設備管理のPDCAサイクル

現場の作業者のワークスタイルを変革し、設備管理の全体最適化に寄与することができる高いポテンシャルを秘めた「Meister Digital Field Work」。設備の高度化と複雑化、老朽化、コスト削減による作業者への負荷増大、人手不足、世代交代によるノウハウ継承という諸々の課題に応え、設備管理をお客さまの競争力へと変えていきます。

※この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2018年11月現在のものです。

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